未到
近松門左衛門
ちかまつもんざえもん
chikamatsu monzaemon
略歴
元禄期の演劇界に君臨した浄瑠璃・歌舞伎の脚本家で、「日本のシェイクスピア」とも称される劇作家。越前あるいは肥前に生まれた武家の出とされ、若くして京の公家に仕えたのち、竹本義太夫の竹本座と結んで浄瑠璃作者の道を歩んだ。武士の忠義や英雄譚を描く時代物と、市井の男女の心中や情死を描く世話物の双方に傑作を残し、とりわけ実際の心中事件を題材にした『曽根崎心中』は世に衝撃を与え、心中物の流行を生んだほどだった。義理と人情の板挟みに苦しむ人間の姿を情感豊かに描き、その葛藤の果てに待つ悲劇を通して観客の涙を誘った。台湾を舞台にした波乱万丈の『国性爺合戦』は空前の当たりをとり、飛脚の悲恋を描いた『冥途の飛脚』も名高い。芸の理想として虚と実のあわいに真実が宿るとする「虚実皮膜」の論を語ったと伝わり、その言葉は日本の芸術論の古典として今も引かれる。
未到