未到
葛飾北斎
かつしかほくさい
katsushika hokusai
略歴
化政文化を代表する浮世絵師で、日本美術を語るうえで欠かせない巨匠。江戸本所に生まれ、若くして絵に志し、生涯に何度も画号や画風を変えながら飽くなき探究を続けた。その画業の絶頂で生み出された『富嶽三十六景』は、富士山を主題としつつ各地の景観と人々の営みを大胆な構図で描き、なかでも巨大な波が舟を呑もうとする『神奈川沖浪裏』は、世界で最も知られた日本の絵の一つとなっている。膨大な素描を集めた『北斎漫画』は絵手本として広く親しまれ、後にその作品は西洋へ渡ってモネやドビュッシーら芸術家に影響を与えた。九十歳近くまで筆を執り、「あと十年、いや五年生きられれば真の画工になれた」と嘆いて世を去ったと伝わるほど、生涯絵に取り憑かれた人物であった。引っ越しを繰り返し、画号を三十度も改めたという逸話も、その尋常ならざる求道心を物語っている。
未到