未到
九代目市川團十郎
くだいめいちかわだんじゅうろう
kudaime ichikawa danjuro
略歴
明治歌舞伎の頂点に立った名優で、「劇聖」とたたえられた。江戸随一の名跡である市川團十郎家を継ぎ、五代目尾上菊五郎、初代市川左團次とともに「団菊左」と称される黄金時代を築いた。文明開化のなかで荒唐無稽と批判されがちだった歌舞伎を、史実に忠実な演出や写実的な演技によって近代的な演劇へと高めようとし、時代考証を重んじた「活歴物」と呼ばれる新様式を興した。荒事から和事、実録物まで幅広く演じ分ける芸域の広さと格調高い舞台で観客を魅了し、天皇の前で演じる天覧歌舞伎の実現にも貢献して、歌舞伎の社会的地位向上に大きな足跡を残した。1903年に没し、以後この由緒ある名跡は長く空席が続いた。歌舞伎の近代化を象徴する存在として、今日なおその名は語り継がれている。
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