未到
大槻玄沢
おおつきげんたく
otsuki gentaku
略歴
江戸時代中期から後期の蘭学者・医師で、杉田玄白と前野良沢という『解体新書』翻訳の二大巨頭に学び、その学統を次代へ橋渡しした人物である。師の一字ずつを受けて「玄沢」と名乗ったと伝わり、長崎にも遊学してオランダ語の力を磨いた。江戸に私塾「芝蘭堂」を開いて多くの門人を育て、蘭学入門書『蘭学階梯』を著してこの新しい学問の体系と学び方を平易に説き示した。これは初学者のための最初の本格的な手引書として広く読まれ、蘭学が一部の先駆者の営みから広い裾野を持つ学問へと成長する土台となった。また『解体新書』を全面的に見直した『重訂解体新書』の完成にも力を尽くし、正月にオランダ流の新年会「オランダ正月」を催すなど、開かれた学問の気風を江戸に根づかせた。師から弟子へと知が受け継がれる蘭学史の要にあって、その普及に最も貢献した一人とされる。
未到