時宗の開祖。伊予の武士の家に生まれ出家したのち、すべてを捨てて念仏の教えに徹する境地に至った。念仏の札を配り歩く賦算を行いながら、生涯を旅に費やして諸国をくまなく遊行し、行く先々で信者とともに念仏を唱えながら踊る踊念仏を広めて熱狂的な人気を博した。定住の寺を持たず、身一つで漂泊し続けた清貧の生き方は「捨聖」と称される。その生涯と各地の情景を活写した『一遍上人絵伝』は、鎌倉時代の絵巻の傑作として美術史上も高く評価されている。