未到
鴨長明
かものちょうめい
kamo no chomei
略歴
平安末から鎌倉初期の歌人・随筆家で、日本を代表する隠者文学『方丈記』の作者として知られる。下鴨神社の社家に生まれ、和歌や琵琶にすぐれた才を示したが、望んだ神職の地位を得られず、世の無常を感じて出家隠遁した。京郊外の日野に一丈四方のわずかな庵を結び、そこでの簡素な暮らしを綴ったのが『方丈記』である。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の一節で始まるこの随筆は、大火・辻風・飢饉・大地震といった度重なる災厄を実見した経験を踏まえ、この世のはかなさと、住まいや欲から解き放たれた心の自由を静かに説いた。歌論書『無名抄』や仏教説話集『発心集』も残しており、乱世を生きた一人の知識人の内省を今に伝える。清少納言の『枕草子』、吉田兼好の『徒然草』と並んで、日本三大随筆の一つに数えられる。
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